講座
腎臟病について
吉利 和
1
1東大
pp.9-13
発行日 1956年2月15日
Published Date 1956/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910049
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1.腎臟病とは
腎臓にはいろいろの病気が起りうる。結核,癌,梅毒,結石症などもあるが,内科的に見てとくに腎臓病というときには,かなりまとまつた内容のものをいうのであつて,例えば浮腫,血圧亢進,血尿,蛋白尿というような症状を主としたものである。これをアメリカやドイツではブライト病と呼んでいて,腎臓疾患の中の大部分を占め,かつ重要なものである。以下にのべるのは,この意味での腎臓病のことであつて,結核その他のものは一応のべないことにする。
このような意味での腎臓病つまりブライト病は大きく分けて二つ,あるいは三つになる。第一は糸球体腎炎,第2はネフローゼである。もう一つ,腎硬化症というのがあるが,これは腎臓の血管の病気であつて,高血圧を主とするものであるために血管の疾患の中に入れられていて,そこでくわしくのべられることが多い。そこで主としてはじめの二つについてのべる。
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