批評
腎臟炎の産婦に對して
藤井 久四郞
1
1東京医科齒科大学
pp.50
発行日 1954年3月1日
Published Date 1954/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200570
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一般の人,殊に農村の人たちには妊娠や分娩に伴う危険症についての知識がないから,助産婦の方々も正しい知識を与え指導することは大変な仕事です.この文を読んでもよくわかります.この症例では助産婦の努力が実を結んだわけですが,何時もこのようにうまくゆくとは限りませんから益々精進を希望します.この婦人では初産のときの妊娠中毒症が完全に治癒しないで次々に妊娠したのではないかと思います.したがつてこの度の分娩は幸に無事すんだのですが,これで安心しないで尿や血圧の検査をくりかえして正常になるまでは医師の監視と助産婦の指導とを怠らないことが大切ですからよく本人と家族へ話して禍を將来に残さないようにしなければなりません.なお慢性腎炎になつていれば別ですが,妊娠中毒症を豫防するにはむしろ蛋白質を充分に食べ動物性脂肪をさけるように指導するのが今日の方針であることを知つておいて下さい.
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