講座
腎臓病の看護
若菜 きみ
1
1東大附属看護学校
pp.14-17
発行日 1956年2月15日
Published Date 1956/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910050
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内科で取扱われる腎臓病は,大きく糸球体腎炎とネフローゼに分ける事が出来る。之らは急性と慢性に分けられるが,之等を一つ一つ取りあげず,腎臓病に於ける主症状を考慮して,すべてにつらなる看護法を述べてみたいと思う。看護として先ずあげられるのは安静である。まして急性期に於ては絶対安静が必要で,高血圧が去り浮腫が消退しても尿所見(尿中赤血球)が全く消失する迄は尚一定の安静を保たなければならない。即ち絶対安静の見分けは尿中の赤血球が全然なくなつたら良いといわれているのである。又慢性の場合は一般に浮腫ある患者,心不全ある患者,再燃した患者は絶対安静を守らせ,その他の場合は比較的の安静を守らせる。
故に常にその状態に注意して症状の観察を行い,増悪した場合は絶対安静にしなければならない。又高血圧より来たものは外界の刺激をさけ,室を暗くして静かに寝ませなければならない。肉体的安静と共に精神的安静が当然要求されるが,この疾患は忍耐を要する長びく疾患であるから,精神的不安を除き感情の調整に常に気を配り,気分の転換をはからなければならない。次に安静と共に大切なのは保温である。寒気は腎炎発生の重要な素因である事を忘れてはならない。又腎の虚血を来すものであるから皮膚血管の拡張と共に腎血管の拡張を促す事が希ましく,保温によって皮膚からの排泄が増進し,それ丈腎のなす仕事を軽減するに役立つという理由をあげる事が出来る。
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