講座 今月の病気
肝臟のはたらきと肝臟病の治療
常岡 健二
1
1東京大学美甘内科
pp.28-32
発行日 1954年12月1日
Published Date 1954/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200749
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〔1〕
肝臟は右上腹部にある大きな臟器で,その重さは1.300g前後である.そのはたらきも極めて多彩で未だ分つていない点もあるが.生体内でも神経組織についで非常に複雑なはたらきを営んでいる.その構造は肝小葉という肝細胞のあつまりとその間にある毛細胆管と,更にこれをとりかこむ毛細血管よりなるものが構造上の単位であり,これが無数に集合して,肝臟を形成しているわけである.
肝臟は他の臟器と同樣に動脉と静脉をもつているが,更に門脉という腹部諸臟器即ち胃腸管,膵,脾等の血液を受けており,胃腸管から吸収されたあらゆる栄養物,薬物,膵,脾等の特殊代謝産物(ホルモンその他)等がすべて門脉血となつて肝臟にとりいれられる.
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