講座
脳溢血の看護
沢井 美智子
1
1聖路加病院内科病棟
pp.9-12
発行日 1955年11月15日
Published Date 1955/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909969
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〔1〕脳溢血の看護の第一は,安静である。卒倒した患者は,事情のゆるす限り,倒れた場所に寝かせ,やむを得ない場合は,担架か,2〜3人で,静かに動かさなければならない。先ず,着物をゆるめ,圧迫をさけて,嘔吐があつても,窒息しない様に,顏は必ず横を向かせ,脳圧を下げる為に,枕を高くし,頭に氷枕氷嚢をあてる。義歯があればはずす。見舞客は断り,部屋は,出来るだけ静かにして,刺激を与えない様,暗くしておく。舌がゆるんで,咽頭壁に密着し,呼吸が妨げられる時は,舌を舌鉗子ではさみ,引き出しておくと,呼吸が楽になる。しかし,それも時間が長くなると,舌の先の色が変つたり,皮がむけて,出血したりするので,その様な場合は,全身麻酔で手術を受ける患者に用いられている人工気道(エヤー・ウエイ)を,挿入すると,舌に傷をつける心配もなく,舌が落ないので,呼吸が非常に楽になる。又,口腔内に溜つている粘液を,吸引したり拭きとつたりするにも,便利である。
意識を失くして,暴ばれる患者は,必ず誰か附添つているかベツトに柵をもろけて,落ちない様に注意しなければならない。
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