発行日 1950年4月15日
Published Date 1950/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906633
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
通常腦溢血は急に起るが,時にはなんとなく不快で,頭重,頭痛,眩暈,不眠等が暫くあつてから,これについて起ることがある。今まで不斷と變りなく活動していた入が突然に倒れ意識を失う。顏は潮紅し,呼吸は深く緩徐で鼾聲を出す。瞳孔反射は減弱又は消失し,脉膊は充寛緩徐で強い。尿屎失禁がある。時には嘔吐がある。麻痺は病變の反對側に現われる(神經經路は延髓で交叉している)大きい腦出血の場合は昏睡かち覺醒して快方に向う場合でも,半身不髓が殘り,知覺障碍,運動失調,失語症,言語不明瞭になつたりする。上,下肢の運動麻痺は發病當初は弛緩性であるが,後には大低上肢は屈曲性(伸筋が括抗筋より強く侵されるため)下肢は伸展性の筋強直を來たして特有の姿勢となる。卒倒して顏面蒼白,脉膊細小,チエーンストークス氏呼吸,又は昏睡が長く續き,高熱を發し,褥瘡の生じた時は豫後不良と云われる。一兩日中に意識を囘復する患者は助かる見込が多いが,一度意識が囘復して安靜を保つていても一週間か十日間頃に再び出血してそのまま死ぬことがある。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.