講座
教育心理学(4)—教育方法の心理的基礎
石山 脩平
1
1東京教育大学
pp.32-35
発行日 1954年11月15日
Published Date 1954/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909688
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1.学習指導と生活指導
教育の方法は,大きくわけて,2つの分野となる。学習指導と生活指導である。学習指導においては,教科として,または教科外の活動として,学習すべき(経験すべき)何らかの対象,すなわち教材が客観的に(生徒からはなれて)存在し,それを生徒が経験を身につけること(学習すること)を教師が助け導くのである。生活指導においては,生徒の生活そのものを問題とし,生徒からはなれた対象ではなく,生徒という主体そのものが,いかにあるべきか,いかに行動すべきかについて教師が助言し,指導するのである。
学習指導では,生徒と教師との間に,教材が介在するが,生活指導では,そういう介在物はなくて,生徒と教師とは直接に交渉する,旧い教育方法論は,教師の立場から考えて,教授と訓育とを方法上の2分野としたが,新教育では,生徒の立場から考えて,生徒の学習を指導する分野と生徒の生活を指導する分野とにわけることになつた。換言すれば,学習指導では,客観的教材の学習を指導し,生活指導では主体的生活を指導するのである。
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