講座
教育心理学(その2・教育の可能性と限界)
石山 脩平
1
1東京教育大学
pp.30-35
発行日 1954年9月15日
Published Date 1954/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909636
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.素質と教育
医療や看護にあたるひとびとにとつて,さしあたり問題となるのは,患者の病気や傷害の治療であるが,治療のためには病気や傷害の原因が探求されるであろうし,その場合の原因のうちに先天的なものがあるとすれば,当然遺伝の問題にふれてくるであろう。事実上,医学や看護学の教育課程のうちには,何らかの形と程度とにおいて遺伝の問題が取りいれられている。
しかし特殊な体質や病気や畸形や機能障碍だけでなく,正常とみられるひとについても,ひろく遺伝の問題に関心を寄せるのは教育学であり,その点について教育学の基礎となるのは素質に関する心理学である。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.