2頁の知識
麻藥中毒
江副 勉
1
1都立松沢病院
pp.30-31
発行日 1954年7月15日
Published Date 1954/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909597
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およそ中毒と名がつくものは,競輪競馬の中毒であれ,酒精中毒であれ,麻藥中毒であれ,又最近わが国にだけ大流行の覚醒剤中毒であれ,それが大々的に国民の間に氾濫するということになると,これらは単なる医療の問題というよりも,むしろ政治のあり方についての問題となつてくる。
わたし達は,麻藥といえばすぐ阿片を思い起し,又阿片といえばすぐ阿片戦争を思い出すのである。この阿片戦争(1838〜42)は英国の資本家がインドで安く手に入れた阿片を中国に密輸入していたのに対して,正義派が,それを焼きはらつたことに端を発した植民地略奪戦争であつたが,この時以来中国人民の間に曠野をやく火のようにひろがつた阿片中毒はもとをただせばその火つけ役は,英国の中国侵略政策であり,その政策は,中国人民に阿片中毒というぎせいを課したわけである。
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