臨床実験
新点眼麻醉藥コルネカインCornecainの使用経験
飯塚 哲夫
1
,
伊藤 清
1
,
松原 俊一
1
1慈大眼科
pp.492-495
発行日 1955年3月15日
Published Date 1955/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202173
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現在迄眼科方面に於ては点眼麻酔藥として主としてCocainが用いられて来た。然しCocainの使用は実際上種々の不利,不便を伴つている。其の第一はCocainの使用に当つて麻藥としての法規の手続を要し,使用量其の他を毎日記録せねばならず,誰しも面倒な思いを経験している所である。又Cocainには瞳孔の散大作用があり,殊にAdrenalinと併用した場合に此の作用が著明で,此の点は白内障手術の際には便利な事ももあるが緑内障手術には工合悪く,殊に緑内障患者には敏感な者が多い為にCocainのみの点眼によつても著しい散瞳を示す事が多い。
以上の様な点から現在迄Cocainに代る可き点眼麻酔藥の出現が強く要望されて来たが,麻酔の程度や刺戟の点等で満足すべさものが得られなかつた。然るに今回ドイツのHochst染料会社に於て新に点眼麻酔藥としてCornecainを合成し,我国の興和化学を通じて試用を依頼せられたので此処に其の成積を報告する。
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