発行日 1953年2月15日
Published Date 1953/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907250
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合唱(其の1)
音樂の歴史上,原始時代から先ず最初に聲樂によつて始まり,而も個人の獨唱よりも齊唱(2人以上の人が同じ旋律を歌う)が行われ,リーダーをする人が一區切歌うと,全員でそれを受けて歌うという様な具合に行う。現在の黑人霊歌にも左様な形の曲が多く殘つて居り又山間僻地に殘る民謠等にも見受けられる。その様な形が今度は對位法的な一つのメロディーを他のパートが追かけて丁度輪唱の様な具合にした合唱曲が盛になり,バッハ・ヘンデルの頃迄に非常に發達した。それが19世紀以後はコラール風な合唱,一つのメロディーにハーモニーが付いて四聲がそれぞれの役目を持つて一つの立派な美しい合唱を歌う形で現在に至つている。国連のユネスコが各国の民謠合唱運動を奬勵している。日本に於て庵作曲家は進んで,日本民謠・童唄・俗謠を合唱に編曲し,又日本民謠をオーケストラ,ピアノ曲等に取入れ新しい音樂を作曲し,作曲家は又日本の民謠風な合唱曲を盛に作曲している。
さて合唱を歌うのに實際に必要な事柄を次にお話してまいります。先ず何と云つても合唱は聲樂ですから,發聲に注意をしなければならない。
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