発行日 1951年1月15日
Published Date 1951/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906776
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看護婦の使命は尊く,重大です。これに異論をとなえる人はありません。けれども,看護婦自身もまた世間の人人も,その美しい白衣で象徴される使命の高さにげんわくされてそのユニフォームの下に生きる一個の人間,一人の勞働婦人としての彼女の存在をややもすると忘れがちでした。看護婦が職場でどの樣な危險にさらされ,どんなに疲れ,何時間働き,どの位給料をもらい,どこでどの位眠り,どんな個人生活の自由を與えられているかなどということは,つい最近までほとんど問題にされたことがありませんでした。默々として働く美しい白衣の天使の犠牲と奉仕は無限であり,又當然の事として考えられていたのです。
確かに,看護婦の仕事には奉仕と犠牲の精神はかくべからざる一つの要素であります。しかし,現在では一部有志の婦人の奉仕のみでは,看護婦に對する社會の大量の需要は充されなくなつています。今では看護婦は,他の職業と同じく,婦人の職業として,特に適職として立派に確立された位置をしめています。それゆえに,奉仕の精神のみならず,健康と高い技能と熟練をも,又,健全な社會人としての常識とが看護婦に必要な要素となつにおります。
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