発行日 1952年2月15日
Published Date 1952/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906999
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私は此度3週間ほど,ある大學の病院に入院しました。日本の大學病院は留學の時代に何度も入院したことがあるので,今茲に別に變つたことも書くことがありません。ただこの20年位の間,私はずつと中國の大學で教授を勤め,且最近何年間かは自分に直接關係はないけれども附屬病院でおきるいろいろな問題にも關係したので,患者になつて入院すると,さぞいろいろ參考になるだろうと思つて興味を以つて入院しました。
私の入院した病院は非常に立派な,行き屆いた建築で,非常に好い壁,換氣,水道,エレベータ,便所が眼につきました。戰前の建築で,今では維持に必要な修繕,特に暖房用石炭などの費用が足りないのでしよう。例えば私の居た北向の部屋はスバラシイ景色が見えながらスチームが通らないので大變寒い,その結果,隣の部屋では小さい火鉢を運び入れています。完全看護はこんな所から崩れはじめます。ある部屋ではまるで小家庭になつております。東洋人はどうもアメリカ式の完全看護を取り入れる時に,何か適當な變形が必要かも知れません。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.