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東大病院入院の記
野溝 勝
1
1元社会党
pp.49-50
発行日 1954年4月15日
Published Date 1954/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909548
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昨年の秋,私は,東大病院のベットで明け暮れを過しました。暗い,冷い病室でした。役人が住むと建物がきたなくなるという日本の惡習からか,あるいは病院の経済状態が惡いのか,設備の不ゆきとどきな建物には近代的な味は全くありませんでした。
しかし,科学的には,さすがに医学のシンボルという感じをうけました。技術や検査の面は,本当にいたれりつくせりでした。ですから,患者は,治療に対して信頼していました。けれども,医者のこまかい注意が,看護や食事まではゆきとどかず科学的治療の結果を逆行させていることもありました。それはちようど,診断,治療,看護という一貫したものに大切な要素がかけているようでした。
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