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醫療法の一部改正—醫療法人
曾根田 郁夫
1
1厚生省医務局医務課
pp.3-6
発行日 1950年6月1日
Published Date 1950/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200146
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さきに医療法が,病院を科学的で適正な医療を行うに足るべきものとしてその規格を高度に引き上げたことにより,医療法施行後の病院経営は,戦後の経済情勢とも相俟つて個人資本にのみ依存することを甚だ困難ならしめたことは争えない。しかも法自体,医療事業の特殊性,非営利性に鑑み,営利を目的とする病院経営を期待せず,従つて,商法の規定による会社組織を医療機関の開設主体として認めることを排斥する立場が依然として貫かれたため,他方民法の規定による公益法人の設立が必ずしも適当でないことを相俟つて既に各所において数人の医師の資本合同による病院開設の要請が現実に生じつゝあつたにも拘らず,これに法人格を与え,その要請を法的に充たすことは著るしく困難な状態にあつた。
その意味において今次第七国会において成立をみた医療法の一部を改正する法律(昭和二十五年五月一日法律百二十二号)が,あらたに医療法人の一率を設けたことは,以上の要請に応えるものとして極めて注目されるものである。即ち改正法は,会社経営に対する従来の態度は一応留保しつゝもあらたに営利さも公益さも目的とせざる特殊法人の制度を設け,医療機関の開設主体に,法人格を取得し得る途を拓いたのである。これにより従来民法の公益法人,商法の会社何れにもより難かつた社団又は財団が容易に法人格を取得し得ることが期待されるのである。
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