発行日 1951年12月15日
Published Date 1951/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906975
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喘息とは何か—喘息というのは發作的に起る特殊の呼吸困難の状態を意味する。此の言葉が用いられるのは氣管枝喘息・心臟性喘息及び尿毒症性喘息の3つであるが,心臟性喘息は心機能不全に基づく肺鬱血によるものであり又尿毒症性喘息は肺の毛細血管の透過性が増して肺胞内に漿液の浸出がおこることによるもので何れも單なる呼吸困難であるに對して氣管枝喘息は小氣管枝筋の痙攣及び粘稠は粘液の分泌によつて生ずる氣管枝内腔の狭窄に基づく呼吸困難である。通常喘息という言葉は氣管枝喘息と意味している事が最も多いから本文では專ら之についてのべる事とする。
喘息發作の場合上にのべた樣な氣管枝の變化が見られるが之は迷走神經末端の興奮によつておこるのである。小氣管枝の内腔が狭くなると吸氣時には吸氣の力が強いので肺胞中にどうやら空氣が流入するが呼氣時にはその力が弱いので充分に排氣出來ない。從つて肺は速に膨張して急性肺氣腫の状態となり肺に於るガス交換が妨げられて呼吸困難を來すのである。從つて此の場合呼氣の方が妨げられ延長するので喘息發作の呼吸困難は呼氣性呼吸困難であるのが特徴である。しかし勿論吸氣の方も障碍され,患者自身は呼・吸何れが苦しいとも判斷し得ないのが普通である。
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