どうする?! 糖尿病患者のCommon Disease対応
喘息
中村 眞人
1
,
巽 浩一郎
2
1なかむら医院
2千葉大学医学部呼吸器内科
pp.520-525
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101566
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はじめに
現代文明は至便性を求めるあまり,無労働文明となっている.その結果,生活習慣病が増え,糖尿病患者数は2008年で約1,200万人,予備軍も含めると実に2,000万人を超える勢いである.一方の喘息患者数は400~600万人といわれ,特に高齢者の喘息と慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease : COPD)の鑑別が難しい症例が増えている.COPDと喘息鑑別のための呼吸機能検査等は,一般非専門医が正しく施行するのは難しいので,必要であれば専門医に紹介し診断依頼したほうが無難と思われる.
ただでさえ高齢になると耐糖能が低下することから,高齢肥満者では喘息と糖尿病の合併が多くなっていると思われる.今後,喘息と糖尿病合併例を治療する機会も多くなると思われ,両者の治療にあたっては互いの影響を考慮した治療が求められる.喘息が肥満を増強させ,逆に肥満が喘息を増悪させる負の関係も予想され,生活習慣を含めた指導が両者を同時に改善することも期待できる.
さて,近年の喘息治療では,吸入ステロイド(inhaled corticosteroid : ICS)の導入により喘息死が劇的に減っている.経口ステロイドは,血糖を著明に上昇させ糖尿病治療を困難にさせるが,ICS治療は,糖尿病と喘息の合併患者さんの治療方法・予後を変えるだろうか?
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