講座
脊髓性小兒麻痺
堤 直溫
1
1國立東京第一病院整形外科
pp.6-9
発行日 1953年8月15日
Published Date 1953/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909377
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病理
脊髄性小兒麻痺は本當の病名を急性灰白髄炎という傳染病で,夏におもに流行し7月8月が1年中で一番多い。しかし春秋にも冬にもある。年齡の點からみると,1,2歳の子供が一番多くかかる。生れたばかりの赤ん坊は母親から免疫體をうけているので,かかることはめつたにない。その免疫體が生後半年から1年ぐらいでなくなつてしまうので1,2歳の子供がかかりやすいのである。4歳,5歳と年がすすむにしたがつてかかることが少くなるが,大人でもかかることがある。
病原體は濾過性病原體(ヴィールス)で,患者の腦脊髄,脾,肝,脊髄液,鼻腔粘膜,腸に存在する。即ち患者の鼻汁,唾液,大便などに病原體がいるので,患者に接觸したり,調理などから傳染する。また蠅から傳染するといわれている。北海道の「るり蠅」に病原體をみつけたという報告がある,その他の昆虫類,例えば油虫なども媒介をするのではないかという人もある。
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