発行日 1951年2月15日
Published Date 1951/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906807
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“序”
結核の歴史は古い。然しその治療の歴史は短い。聽診器が發明されたのは19世紀であるし,レントゲンが結核の診斷に用いられる樣になつたのは20世紀である。外科的治療が旺になり,化學療法が行われても結核は未だ疑問符のうたれる病であり,結核菌の傳播とその抑制の最も効果的な方法についての知識が未だ萬全の域に亘つていないという事も事實である。その結核は慢性の經過をとり,“魔の山病”とも云われるものだとすると療養所に働く私共は結核看護に對して再考の必要があると思う。患者に對しそして社會に對して,又私共自身に對して。
結核看護に關する良い參考書は既にあるし,又最近ロングハースト女史の書が飜譯されたと云うので今更私の貧しい知識を披擽する迄もないし,ましてや短い經驗を基とした拙文を公表する迄もない。只此の一文は私の訴えであり夢であり理想である。そして又共に研究し合い度い點である。
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