増刊号 Common Disease 200の治療戦略
呼吸器疾患
結核
赤川 志のぶ
1
1国立療養所東京病院内科
pp.284-285
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904083
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疾患概念と病態
結核は,ナイアシン陽性の抗酸菌である結核菌の吸入によって感染する感染症である.初感染は肺末梢に微細な病巣を形成した後,肺門のリンパ節にも病巣を形成する.感染後2〜8週にて細胞性免疫が成立すると,多くは瘢痕治癒する.しかし,菌量が多かったり,免疫力が低下した場合は,引き続き炎症は進行し,胸膜炎や粟粒結核として発症する.
一見治癒したかにみえる結核初期病巣も,免疫抑制剤投与や高齢などにて個体の免疫力が低下すると再燃しやすくなる.多くの肺結核はこの内因性再燃による慢性型結核である.病巣は肺葉の上部後方(S1,S2,S6)に好発し,空洞を有する結節性病変および周囲の散布性娘病巣をみることが多い.胸水貯留や粟粒結核をきたすものもある.
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