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増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ
11章 感染性疾患・寄生動物疾患
結核
Tuberculosis
佐々木 結花
1
1公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター,呼吸器内科
pp.544-545
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202003
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結核はヒトからヒトへ感染し,空気感染で拡大する.結核菌は気道から肺に定着し,肺に初感染病巣を形成してリンパ行性に所属リンパ節に病巣が形成され,一次病巣(primary complex)となる.5%程度はそのまま一次結核として発症するが,95%は宿主に免疫が成立し潜在性結核感染症として結核症を発症せず,沈黙を守って休眠しているかの様相となる.何らかの理由で宿主の免疫が低下し,菌の増殖が生じて病巣が形成された場合(内因性再燃),結核症として治療の対象となる.結核症は全身の臓器に生じるが,主たる病巣は呼吸器系,特に肺に形成される.結核菌自体が好気性菌であり,呼吸器系はより増殖しやすい環境であるといえよう.
呼吸器系の結核,特に肺結核患者が,次の誰かに感染を生じさせる可能性が高い“感染源”であることを診断する検査項目が喀痰検査であるが,気管支鏡検体,各種検体(胸水,腹水,胃液,尿,便,血液,髄液,関節液,器具洗浄液など),手術検体からも抗酸菌関連検査が行われる.
基本的な検査1)
喀痰を検査する場合,塗抹,培養,同定,薬剤感受性検査が行われる.塗抹・培養検査は検出率を上げるために3日間行うとされるが,保険収載上核酸増幅法による同定は3日間のうち1回行う.喀痰検査では検査に値する検体であるか,性状を確認する.単なる唾液や膿性部分が少ない検体は,診断に値せず誤診を招く可能性がある.そのため適切な検体ではない場合,院内では再検を依頼し,検査会社に勤務する方であれば指示医療機関に“検体不良”の連絡を行っていただきたい.
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