名詩鑑賞
玉杯
長谷川 泉
pp.74-75
発行日 1950年8月15日
Published Date 1950/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906695
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このうたは「玉杯」または「鳴呼玉杯」と呼ばれる。正しくは一高の第12回記念祭寮歌である。舊制高校は今年の3月末で消滅したから,第一高等學校は既に無い。現在は東京大學の教養學部となつている。新制大學の教養學部が昔の高等學校とその性質を異にしていることは,常識のように認められている。どのように變つたのであろうか。
昔の高校生氣質をあらわすものに弊衣破帽という言葉がある。身なりなどはかまわず,ひたすらに眞理を追求する熱情に燃えて向學心をかきたてた。「友の憂いに我は泣き,我が喜に友は舞う」といつたようなひたむきな友情が,そして,お互の切瑳琢磨を助けた。
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