発行日 1949年1月15日
Published Date 1949/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906414
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看護婦學校の教授團も,近頃,學生は職業を修得すると共に,全體的生活を營む必要があると認めつゝあります。學生が,單に一人の看護婦としてではなく,家族や友人,教會や社會的集團と絶えず,接觸を保つ一人の人間として,益々考えられる樣になつています。凡そ1週48時間の間は,學生は,制服を身につけて,看護學生のミス・ブラウンとして過ごします。ところがこの時間が終ると,「普通人」の衣裳に着換えて,ジエーン・ブラウンと云う普通人なる女性になるのです。如何に巧みにその役割を變え得るかと云うのが,彼女の流通無凝・調和の證明になります。假りに,彼女が,自分の思索・話題・娯樂生活の間,暫しも,病院と云うことを念頭から離し得ないとすれば,ミス・ブラウンは,看護學生としては,見上げたものだが,普通人たるジエーン・ブラウンとしては,憐れな者となります。
これは,彼女の罪なのでしようか。彼女だけ責むべき者なのでしようか。答は,或る場合には,「イエス」ですが,多くの場合は,「ノー」です。何故かというのに,彼女の學校が,もし彼女の幸福と興趣をかんがえてやるならば,美術・音樂・議會訓練などの他の分野へ辿る道を拓いてやらねばならぬ立場に置かれているからであります。これらの物は,選擇課目又は,課外作業として與えることが出來るものです。
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