「わが愛は山の彼方に」を觀る記

　「わが愛は山の彼方に」を見る。若い醫師とその妻，そして同じ目的に向ふ看護婦との愛情の世界を眞摯な態度で描き出した缺畫として最近のものとしては良心的な一つのモラルを持つた佳作であると思ふ。

　然し私は看護婦の一人として見る時日本映畫界でも一人者と云はれてゐる豐田四郎監督の下に描き出された看護婦も從來の看護婦を手材した映畫よりは格段の相違はあるとしてもまだまだ專門的職業としての看護婦の姿を掴んでゐない樣に感じ非常に悲しく思つた。