看護學講座
基礎看護法—患者の觀察
白井 怜子
1
1聖路加病院
pp.41-48
発行日 1947年11月15日
Published Date 1947/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906262
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患者と看護婦
個々の患者は看護婦にとつて如何に興味のあるものであらう。老若男女,人種,階級,教育程度,社會的地位の差異は勿論時には乞食や泥棒に至る迄あらゆる種類の人々が患者として看護婦の看護をうける機會があるわけである。患者は看護婦と同樣生きてゐる人間である。患者の疾病のみでなく生きた1人の人間としてあらゆる角度から患者を觀察出來る看護婦は色々興味のある事實を學び興味をもつて仕事が出來る。そして研究,經驗よう得た種々の事柄を多方面に關聯させて仕事の目的を遂げる大きな力となし得る。
人間が生れるとから死ぬ迄,人世の歡喜或は深刻な劇的場面に參加して看護の役割を演ずる藝術家,それは看護婦なのである。故に若し看護婦が「人間」をではなく疾病のみの看護とするならばその結果は無意味なものになる。
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