研究報告
成人に於ける終神經の觀察
佐野 豊
1
1京都府立醫大・解剖學教室
pp.149-151
発行日 1949年10月15日
Published Date 1949/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905474
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序言
終神經には始めPinkus(1894)によつて肺魚類に屬するProtopterusに於いて發見せられた。尤もこれ以前にもFritsch(1878)は鮫類で,Herrick(1893)は有尾類で,此の神經を描寫してゐるが,新しい神經としての存在を確認したのは,Pinkusである。次いでLocy(1899,1903,1905)は27種の鮫類で本神經を檢索證明し,之に現在用ひられてゐる終神經と云ふ名稱を與へた。其後Sheldon(1909)は硬骨魚類鯉で,Herrick(1909)は兩棲類Rana pipiens及びRana cat esbianaで,Johnston(1913)は爬虫類Emys lutariaで,夫々本神經を證明した。鳥類では現在尚ほ存否定説無く,哺乳類に就いては夙くDe Vries(1905)及びDölken(1909)の胎仔に於ける報告があるが,鋤鼻神經との混亂があり,明瞭に認めたのはJohnston(1913)の人,豚,羊の胎兒或ひは胎仔に於ける觀察が最初のようである。成人で始めて終神經の存在を證明したのは,Johnston(1914)及びBrookover(1914)兩氏である。斯くて終神經は鳥類を除く脊椎動物門の各綱に常存する腦神經である事が判明し,1935年制定のJ. N. A. では腦神經の初めに此の神經を加へてゐる。
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