2001フロントライン 看護研究
提言:看護論文にももっと「注記」を—論文の作成における文献の収集,解釈,検討について
関谷 由香里
1
1日本赤十字広島看護大学
pp.240-244
発行日 2001年3月1日
Published Date 2001/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906007
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はじめに
今日,日本の看護界では,実に多くの看護研究がなされ,その成果が研究論文(以下,論文と略す)として公表されている.このことは,それぞれの看護領域の研究者が増え,その専門性が高まっていることを反映しており,今後の看護学の発展のためには,たいへん有意義なことであると思われる.けれども,それらを読む者にとって大事なのは,自分の関心に照らして,これら数多の論文の中から,検討注1)に値する質の高い論文を見いだすことである.
筆者は,この数年,人文科学系の学問並びにその研究方法を学んできた弱輩者である.人文科学系の学問を学び,この分野で研究を始めた当初は,それまでの看護の場で行なっていた研究方法との差異にとまどうばかりであった.特にその中でもっとも差異を感じたのは,先行文献・資料(以下,文献と略す)の取り扱いについてである.
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