連載 道拓かれて—戦後看護史に見る人・技術・制度・24[最終回]
戦後の看護研究の軌跡から—新しい時代に向かう研究をめざして
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.1182-1186
発行日 1998年12月1日
Published Date 1998/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905734
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はじめに
今年の9月,第3回日本看護科学学会国際学術カンファレンスが東京国際フォーラムで開催された.東京の空を台風が走りゆくさまをガラス棟の中から見るという面白い体験をした.「看護研究」という共通言語のもとでの,世界各国の事情を反映した研究発表と,活発な質疑の中に,それぞれの研究者の自信のほどがうかがわれて興味深かった.なによりも,英語で行なうプレゼンテーションにもかかわらず,溌剌と壇上に上る日本の若い看護研究者の姿に,次代の看護研究への期待が持てた.
戦後50年の中で,実に多くの変化を迫られた看護ではあったが,看護研究の領域での進歩は特にめざましいことを実感した学術集会であった.これに先立ち,今年の夏の第24回日本看護研究学会学術集会での吉武香代子の教育講演も印象的であった.「看護研究の進歩・発展とともに得たものと,その過程で失ったものがある」との指摘は,同時代をともに生き,看護研究を行なってきた1人として,しみじみ共感したことであった.
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