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懷しい戦後の学生時代
宮木 智代
1
1神戸逓信病院
pp.117
発行日 1970年6月1日
Published Date 1970/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914924
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馬車馬のごとき毎日の繁忙さから逃れ,夢を海外に馳せてShipnurseを志し,日赤を退職してはみましたものの,思いがけない事情から神戸逓信病院につとめるようになり,はや15年あまりになります。港町神戸のこの病院は,後は山,前は海と環境はいたってよく,ベット数50床(近く増床の予定),看護婦数40名,平均年齢39歳,平均勤続年数約10年(過半数は15年以上)の職場では,いとものんきなヒラ看,家庭にも恵まれ,週2回は健康と美容のために整美体操教室に通うというような,脳の皺ものびきってしまいそうな優雅なる日々を送っています。
終戦後間もなく食料事情の悪い時に熊本から上京して,西も東もわからないポッと出の田舎者が3年間聖ルカ・日赤合同のDemonstration School of nursingの学生として教育された日々を想い出し,懐しい想い出でいっぱいです。朝に夕にの讃美歌合唱,ナイチンゲール誓詞の朗読,学習および臨床実習,寮に帰ればおなかペコペコ,しかし大豆粉のすいとんか,とうもろこしのパン,あるいはじゃが芋のゆでたものなどでは育ち盛りの胃は満足するはずもなく,消燈違反をしては電熱器で細々と雑炊を作って同室の友だちとすすり合ったりしたものでした。
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