連載 道拓かれて—戦後看護史に見る人・技術・制度・21
極限状況下でのチーム医療—平和を語り継ぐ,久松シソノ
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.882-886
発行日 1998年9月1日
Published Date 1998/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905675
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はじめに
戦争が人々の記憶から遠ざかろうとしている,だが,忘れてはならないのだ,語り伝えなければならないのだ.それがどんなに悲惨で人間の尊厳を奪い尽くすものであるかを.「看護の質の向上」も,「その人らしく生きていくことを援助をする」ことの追求も,インフォームドコンセントも,すべては平和だからこその課題であることを認識しよう.
戦後史を語るとき,あの戦時の看護活動を抜きにはできないと,本連載でもしばしば述べてきた.女性の身で戦場に赴き救護をした体験は,看護職ならではのものである.その体験者らが,戦後の時代の半ば以上をリーダーとして働いた.死線を越えた体験からくる強さは,後輩たちに酷なまでの忍従と責任を問い,民主社会になじまぬほどの厳しさを求め,そのことが,看護の職場風土によくも悪くも影響を及ぼしたと言えよう.
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