東洋医学のはなし・6
ハリ・灸はなぜ効くのか
間中 喜雄
1
1北里研究所付属東洋医学総合研究所
pp.725-728
発行日 1975年7月1日
Published Date 1975/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917295
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ハリで痛みがなぜ治るか
薬物も使わず,注射針よりもはるかに細いハリを,数か所のツボに刺したぐらいのことで,なぜ病気が治るのか.ことに痛みがなぜ治るのか.治るということは長い経験で分かってはいるが,なぜという点はまだ十分説明されていない.
中国の昔の医者は,経絡というルートのなかには気血栄衛といって,生体の生命力をつかさどる有形無形のエネルギーが流れている.その流れに過不足や停滞があると病気が起こる.針の刺入,その手技,すなわち補潟〔エネルギーの過不足や停滞,外邪(寒気・暑気・湿気)を調整〕し,併せて食養生をし,また生活を正しく規制し,全体および部分の調和を図ることによって,生体の正常のオートメーションが十分に働き,疾病が治っていくというような大局的な考え方をしているのである.
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