連載 H・I・V—AIDS看護はいま・3
HIV/AIDS患者の看護の実際—慢性疾患としてのAIDS
小谷 優子
1,2
1HIV/AIDS看護研究会
2横浜市立市民病院西2階病棟
pp.868-873
発行日 1997年9月1日
Published Date 1997/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905429
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はじめに
横浜市立市民病院(以下当院)では,平成5年よりHIV感染者の診療を行なっている.診療開始当初は患者が少なく,看護も試行錯誤であったが,その後,患者は増加の一途をたどり,私たちのエイズに対する認識も変化してきている.特に最近ではプロテアーゼ阻害剤の普及,日和見感染症の予測とその予防的薬剤投与によるコントロールの進歩によりエイズは致死的疾患としてだけでなく慢性疾患として認識されるようになり,継続看護やセルフケア指導という点で看護を充実してゆく必要性を感じている.
当院でケアを受けている患者の多くは,具合が悪くなってほかの病院を受診したが原因がはっきりしないため,HIV抗体検査をしたところ陽性と判明し,転院あるいは紹介されてくる患者である.つまりCD4値の低下,日和見感染症の罹患など,かなり病状が進んだ状態でいきなり入院という形である.患者にとっては思いもよらぬ病名告知,知らない病院での入院などかなりストレスのかかる事態である.しかも患者の多くは「エイズ=死」というイメージを少なからず持っている.
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