連載 買いたい新書
からだの知恵に聴く—人間尊重の医療を求めて
清水 準一
1
1東京大学医学部附属病院看護部
pp.1132-1133
発行日 1996年12月1日
Published Date 1996/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905238
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「病いは危険な好機」
医師や看護職は本当に患者のケアをしているのか?
本書の著者,アーサー・W・フランクはカナダのカルガリーに在住する大学教授で医療社会学を専門としている.医療社会学者の書いた本ということもあり,読み始めるまでは,いわゆる現代医療批判的な論文調の文章を期待していた.
確かに後述するように,本書からは全体として医療において人間の身体だけでなく精神的な部分や社会的存在としての部分の尊重を訴えており現代医療への批判が背景にあるが,あくまでも彼がこの著書の中で主眼においていることは,自分の「心臓発作」と「がん」におそわれた体験を率直に語ることである.
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