連載 —海外文献紹介—Current Nursingピックアップ・33
看護における歴史的研究—ナイチンゲールの今日性の探究
小川 典子
1
1日本赤十字看護大学大学院看護学研究科博士後期課程
pp.1128-1131
発行日 1996年12月1日
Published Date 1996/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905237
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はじめに
歴史的研究は,これまでの看護研究の中ではあまり多くなされていない.クリスティは論文「歴史的研究の方法論」(Christy, 1975)の中で,「看護婦は行動に導かれた,即座の問題に直接答えを出す経験的実験的研究に集中する傾向がある」と述べ,「非常に多くの看護婦たちが正当な研究努力として歴史編纂を理解しそこなった理由」について考察している.現実的な問題に直接的な答えを出すのではない歴史的研究は,臨床ナースたちにとっては価値が低いとみなされがちである.
しかし看護の現在を本当に明らかにするためには,看護がたどってきた過去を明らかにする必要があるだろう.看護実践に際して,先人たちの書物にさかのぼってその知識や技術を臨床に取り入れ,看護史に興味を持ちながら,歴史的研究を実践に生かしたいと考えている臨床ナースは意外に多いのではないだろうか.
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