特別企画
在宅看護の概念のはじまりは、ナイチンゲールにあり
小川 典子
1
1順天堂大学保健看護学部在宅看護学
pp.665-668
発行日 2019年9月15日
Published Date 2019/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201264
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ナイチンゲールは、従弟のヘンリー・ボナム・カーターに宛てた1867年の書簡のなかで「すべての看護の最終目標は、病人を彼ら自身の家で看護することだというのが私の意見です。私はすべての病院と施療院が廃止されることを期待しています。でも2000年のことについて話したところで何にもなりませんね」と語っています*1。この言葉に出会ったとき、筆者の看護史への関心、ナイチンゲールへの関心、在宅看護への関心がひとつにつながりました。
19世紀に生きた彼女が在宅看護をどのように捉えていたのかを探るために、1990年代初めに私はナイチンゲールの著作研究者・小玉香津子先生のご指導の下、ナイチンゲールの原文を読みながらカードに1枚1枚手作業で彼女の言葉を書き写しては虫ピンで貼りつけていく、そんな研究を始めました。160年前の過去にデータを求め、ナイチンゲールとの対話をくり返す研究は今も続いています。現在ではテキストマイニングソフトを使って単語別・著作年代別に分析したり、グラフにして可視化したりしながら、「やっと世の中もナイチンゲールに追いついてきた」と思って、研究や教育、実践に励んでいます。
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