連載 —海外文献紹介—Current Nursingピックアップ・31
慢性疾患患者の自己管理を支える看護の役割—CoatesとBooreの文献から
林 啓子
1
1筑波大学医療技術短期大学部
pp.940-943
発行日 1996年10月1日
Published Date 1996/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905195
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はじめに
20世紀後半の医療は,慢性疾患の増加で大きく様変わりしている.現在問題となっている慢性疾患の大半は,成人病と呼ばれているもので,複雑な現代社会の中で生活する個人のライフスタイルと関係が深い.また,慢性疾患は完治が困難か,または治るまで時間がかかるため,病気といかに共存していくかということが治療のポイントとなる.そのため患者と医師との間には,新しい関係が生じている.
急性疾患では,まず命を救うことが優先されるため,医師が治療の主導権を握ることが多い.しかし,慢性疾患の治療においてはこの関係は成り立たちにくい.なぜなら病気と共存するためには,患者の病気に対する理解,治療選択の意思決定と実行など,患者自身が積極的に治療に参加することが求められてくるからである.このように患者が治療に主体性を持つようになってくると,患者と医師の関係が変化するだけでなく,医師と看護婦をはじめとする医療スタッフとの関係も変化してくる.
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