研究
糖尿病患者の病者役割からみた自己概念とComplianceに関する研究
中西 睦子
1,2
1日本赤十字看護大学
2ミネソタ大学看護学部
pp.191-209
発行日 1986年1月15日
Published Date 1986/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200872
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1.序論
1.問題の所在
医学的治療処方に対する患者のcompliance(服従)もしくはnoncomplianceは,慢性病の経過に影響する大きな因子であると考えられている。患者がcompliantな状態になれるようにどのように援助したらよいかは,慢性病のケアにあたる看護婦にとっても,主要な関心事である。Noncomplianceとみなされている患者を理解し,援助するのに役立つような経験的データや説明的枠組はこれまでにもいくつか存在しており,その中では,自己概念が追求に価するように思える。患者の自己概念は,理論的に考えた場合,complianceの主要な変数であるとみてよい。けれども,経験的データは,この仮定を一貫して支持しているわけではない。おそらく,これまでのいくつかの研究において自己概念を測定するために使われた道具に問題があったのであろう。患者の自己概念とcomplianceの状態との関係を明らかにすることは,慢性病の看護ケアを発展させるために重要であるように思う。この研究で追求しようとするのは,糖尿病患者においては病者役割からみた自己概念(以下SRS-Cと記す)とcompliance状態との間の関係である。この研究の目的は,SRS-Cが慢性病患者のcompliance状態と関係するか否かを調査するところにある。
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