連載 このひと'96
藤村淳子さん—あいち診療所野並理事・看護婦
pp.105
発行日 1996年2月1日
Published Date 1996/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905005
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看護の力を十分に享受してもらうために診療所を“開設”
今回ご紹介する藤村淳子さんは,志を同じくした畑恒土医師とともに開設した診療所を拠点に,包括的な在宅医療システムを築かれた草魂の実践家である.在宅に焦点を当てたケア提供を目指して,プレハブ平屋建ての「あいち診療所野並」をスタートさせたのは5年前.以前勤務していた病院で在宅医療を始めたものの,「はたして自分が患者になったとき,特に老いて病に伏したとき,現状の医療・看護・介護のシステムに満足できるであろうか」という疑問に行き当たり,出た答えが「看護婦が診療所をつくる」だったのだそうである.
開設当初は,健康保険の制限はさておき,とにかく寄せられたさまざまな要望に応えられるだけ応えたという.「必要とあらばプレハブ内に畳を敷いてショートステイの場としましたし,患者の家に泊まり込んだこともありましたね」その採算度外視の経験が肥やしとなり,診療所は11床のショートステイ用のベッドとデイケア・リハビリ・ルームを有する3階建てに生まれ変わり,昨年7月には第2の拠点「あいち診療所滝の水」も開設された.あいち診療所の在宅医療への姿勢に賛同し,藤村さんのもとに集まったスタッフは,現在13名の看護婦を含めた60人の規模となっている.
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