連載 カラーグラフ
JJN Gallery・2
『病める子ども』—ガブリエル・メッツ画
酒井 シヅ
1
1順天堂大学医学部医史学
pp.102-103
発行日 1996年2月1日
Published Date 1996/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905004
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病める子どもの特徴が,目元と投げ出された手足に見事に描かれている.また,病という重苦しい画題にもかかわらず,子どもの黄色い服と母親のブラウンの上着,スカートの赤と青の色のバランスが絵をとても明るく,美しくしている.
作者メッツは17世紀のオランダ画家である.彼の活躍した時代はレンブラント,フェルメールをはじめとする高名な画家たちが活躍した,オランダ絵画の黄金時代である.メッツはアムステルダム時代に彼らの影響を強く受けているが,この『病める子ども』にはメッツ特有の構図と色調がはっきり認められる.フェルメールの作品に劣らぬ,デリケートな,あたたかい絵だといわれている.
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