特集 精神科的問題をもつ患者と向き合う
—一般病棟における精神看護・1—対応に苦慮する患者の精神的問題とそのアセスメント
野末 聖香
1
1横浜市立市民病院
pp.741-746
発行日 1995年8月1日
Published Date 1995/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904867
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はじめに
昨今医療は急速に進歩し,これまでなおらなかった病気が克服できるようになり,人々の寿命ものびた.しかし反面で,入院治療をしている患者は,検査や治療が高度化・複雑化したために,それに伴う苦痛や不安と闘い,医療に関するあふれる情報のなかで選択に迷い,まだまだ貧困な入院施設の環境に身をおいている.自分の病気を知る権利をどう考えるのかに直面することもある.また,命は助かったが障害をかかえどう生きていくのか,長い老年期生活をどう過ごすのか,慢性疾患をもちつつ一生をどう送るか,などの課題も投げかけられる.
患者は身体的にも心理社会的にもストレス状況のなかにいる.そのために,たとえば不安が強くうつ状態に陥ったり,闘病の意欲がなくなったり,緊張が極度にたかまって感情のコントロールができなくなったりする人もいる.また,不眠になり夜間になるとおかしな言動をする(夜間せん妄)とか,極端に依存的になる人もいる.このような言動は,患者のストレスと,それへの不適応のサインである.患者の24時間を看ている看護婦がそのSOSを適切にとらえ,患者が危機を乗り越え,ストレスによりよく対処できるように援助することが必要である.著者はリエゾン精神専門看護婦として,一般病棟に入院中の患者におこる心の問題,行動上の問題に関するコンサルテーションや看護婦のサポートを行なっている.
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