連載 カラーグラフ
生体のメカニズム・30
内分泌の生理・4
基礎体温で妊娠診断できるわけ
大橋 俊夫
1
TOSHIO OHHASHI
1
1信州大学第一生理学
pp.492-495
発行日 1994年6月1日
Published Date 1994/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904557
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「内分泌の生理」の最後に,内分泌生理学の特質である,中枢の視床下部—脳下垂体—末梢の内分泌臓器の間のフィードバック制御システムがきれいにできあがっている生理機能についてお話ししてみましょう.その代表として,女性ホルモンをあげることができます.
このホルモンの濃度は中枢の視床下部の指揮の下,約1か月を周期に規則正しく高くなったり,低くなったり変動しています.そのホルモンの変動は,採血して測定しなくとも体温の変化を観察すれば予測することができるのです.しかし体温も夜明け前が最も低く,夕方が一番高くなるように,1日の中でもリズミカルに変化していますので,毎日決められた時刻で測ってみなければなりません.これが基礎体温と呼ばれるもので,朝,目が覚めた時,床の中で体を動かさないように注意して,舌下で測ります.女性の方は,健康診断のつもりで一度1か月続けて測ってみて下さい.誰でも毎日毎日少しずつばらつきはありますが,平均して低い時(低温相と言います)と,この低温相より平均して0.3-0.5℃高い時(高温相)の2つの相にきれいに分けられていればまず健康と言ってよいでしょう.
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