連載 カラーグラフ
生体のメカニズム・27
内分泌の生理・1
“ホルモン”による体の調節
大橋 俊夫
1
TOSHIO OHHASHI
1
1信州大学・第一生理学
pp.196-199
発行日 1994年3月1日
Published Date 1994/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904482
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“ホルモン”による体の調節
私たちの体は60-80兆個の細胞からできていて,その細胞の似たもの同士がいくつか集まって,一定の働きを示すようになったものが臓器ですね.忘れてしまった人はもう一度「細胞の生理」の項目を読み直してください.
その働きは臓器単位でながめてみても,細胞単位でながめてみても,無意識のうちに上手に調節されていて,働きすぎにも,働きが低下したりもしないようにできています.例えば激しい運動をすると,息が激しくなり,心臓の鼓動は高まってきますね.しかし運動をやめると,別に何も体に命令したわけでもないのに息の激しさも心臓の鼓動も自然に元の状態に戻ってゆきます.この体の働きを元の状態に戻すために働いているのか自律神経と,これからお話しするホルモンなのです.なぜ2種類の調節系を持っているかというと,数日かけてゆっくりと体の変化を元に戻すためなのです.体の働きが変化すると間をおかす瞬間的に働きだすのが自律神経であり,数日かけて体の働きを元に戻すためにホルモンが働いていると覚えておいてください.
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