今月の主題 水・電解質と酸塩基平衡
水・電解質代謝の理解のために
Na代謝調節系—ホルモン
丸茂 文昭
1
,
野々口 博史
1
1東京医科歯科大学医学部・第2内科
pp.2138-2139
発行日 1989年10月10日
Published Date 1989/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222880
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ヒトが食事としてとるものは,加工してある食物であり,動物をそのまま生でのみこむということはまずまれである.したがって,細胞外液はほとんど摂取されず,細胞内液が経口的に入ることとなる.ところが一方,腎臓で濾過されて排泄される尿は,当然のことながら細胞外液である.すなわち,主として体内に入るものは細胞内液であり,出るものは細胞外液であるということになる.細胞内液の主たる陽イオンはK,陰イオンはHPO4--であり,細胞外液のそれらはNa,Cl,HCO3-である.このままの状態では体内のイオンバランスの不均衡が起こるのは当たり前なので,人体はKやHPO4--はなるべく排泄しようとし,Na,HCO3-はなるべく失わないようにしようという自動調節機構を持つ.とくに,Na喪失を防ぐ機構は発達している.
腎におけるNaの排泄量の多寡は,第1に糸球体濾過量の多少により決定され,それを微調整するシステムとして,糸球体-尿細管バランス(glomerulo-tubular balance)-尿細管糸球体フィードバック機構(tubuloglomerular feedback)がある.これらは他項で述べられるであろう.
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