トピックス
ホルモン遺伝子の発現調節
中山 耕之介
1
,
松本 俊夫
1
1東京大学医学部第4内科
pp.236
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902238
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ホルモン合成の調節は,ホルモン作用の調節系において重要な位置を占める.近年,各種ホルモンの遺伝子構造の解明に伴い,その組織特異的な発現や,種々の因子による転写調節系の解明が急速に進められている.本稿では血清カルシウム(Ca)濃度の生理的調節系の中心を占める副甲状腺ホルモン(PTH)と,主に悪性腫瘍で過剰発現し,高Ca血症の主要な惹起因子であるPTH関連蛋白(PTHrP)を例にとり,その遺伝子発現の調節機構に関する最近の成績について述べる.
PTHの合成は,血中のCaと1,25水酸化ビタミンD(1,25D)による調節を受けている.このCaと1,25DによるPTH合成の調節は,PTH遺伝子の転写領域上流に存在する各々の反応領域への転写調節因子の結合を介することが明らかにされた.細胞外液Caに反応する領域(nCaRE)は,約3,500と2,400bp上流との2か所に存在する.このうちの下流側調節領域はパリンドローム構造をとりバソプレシンやANPなど浸透圧により発現が調節されるホルモン遺伝子上流にも共通して認められることが明らかとなった.現在,nCaREに結合する転写調節因子(nCaREB)の解明が進められているが,複数の転写因子が関与している可能性がある.
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