特別記事
改正臓器移植法の意味と課題
会田 薫子
1
1東京大学大学院人文社会系研究科
pp.869-873
発行日 2009年9月10日
Published Date 2009/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101572
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国会審議の意味
2009(平成21)年7月13日,改正臓器移植法が国会で可決,成立した。1997(平成9)年の同法制定後,3年後に見直されるはずであったが,今回,初めての改正となった。今回の改正法の採決は,わが国の政治に歴史的変革をもたらす契機となると予想される衆議院解散・総選挙直前の政局の混乱のなかで行なわれたため,拙速という批判の声が,国会議員の一部からもマスメディアからも上がった。国会審議の時間は,衆議院ではわずか8時間,参議院でも23時間であった。筆者も確かに今回の国会審議と投票は拙速であったと思うが,それでも,国会議員の意思は明確であったとみている。衆議院,参議院ともに,議員の投票行動を分析すると,その大勢は「何とか成案を得たい」と考えていたことが伺える。他の重要法案には,審議未了で廃案になったものもある。保健医療分野だけでも,肝炎患者への医療費助成を盛り込んだ肝炎対策基本法案,障害者自立支援法の改正法案などが立法化されなかった。
そのようななかでも,臓器移植法だけは改正しなければと多数の国会議員は考えた。
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