現場から アイデア
上腕神経麻痺予防のための術中上肢固定具の作製と効果
川原 由美子
1
,
八木 由香
1
,
福田 紀子
1
,
中村 弘子
1
1石川島播磨重工業健康保険組合播磨病院
pp.1066-1069
発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904081
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手術室看護において,手術体位をとらせることは重要な看護援助のひとつである.全身麻酔下で手術が行なわれる場合,患者は苦痛を訴えることができないので「安全・安楽」という面で確実に千術体位の固定を行なう知識と技術が必要となる.私たちはこれまで,上腕神経麻痺予防のために,前腕の外旋と,体幹と腕が90度以上開くのを防ぐため,手台の上にバスタオルを敷き弾力包帯(アップ帯)で巻く方法で上肢の固定を行なってきた.しかし,この方法では,スタッフによって固定の方法・強さが異なるため,神経麻痺を起こしてしまう場合があった.また,鏡視下手術が広く行なわれるようになり,手術台の術中ローテーションが多く行なわれるようになったため,神経麻痺を起こすリスクがさらに高くなっている.
そこで,手術体位の学習を改めて行ない,上肢の固定に着目して術中に使用する「上肢固定具」を作製した(図1).さらに,術中体位と上腕神経麻痺の関連と上肢固定具の効果について調べるため,チェックリストの作成・記入と,術後の患者への聞き取り調査を行なった.その結果,上肢固定具により安全かつ均一な上肢固定と上腕神経麻痺の予防が可能となり,術中に上肢を観察するスタッフの意識も向上したのでここに報告する.
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