特集 —がん化学療法—症状マネジメント15のQ
Q12 肝障害—肝障害があるとのことで抗がん剤投与が中止になりました.原因・対策を教えてください.
向井 博文
1
,
清水 千佳子
1
,
渡辺 亨
1
1国立がんセンター中央病院内科
pp.441-442
発行日 2002年5月1日
Published Date 2002/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903962
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- 文献概要
多くの抗がん剤は肝で代謝され,活性化,または不活性化を受けます.このため,肝代謝能を超える薬剤投与,既存の肝機能異常などは,肝障害発症の原因になります.現在,肝障害発症を確実に予防できる方法は存在せず,また発症後の治療薬も存在しません.よって発症時は対症療法をとらざるを得ないのが現状です.
肝代謝を受けない抗がん剤でも肝障害を発症する可能性はあり,基本的にはすべての抗がん剤で起こりえます.治療前の肝機能が正常であっても肝障害が起こることはあり,治療前の発現予測は容易ではありません.さらに,抗がん剤と併用薬剤(抗がん剤を含む)などとの相互作用によって発症することもあるので複雑です.
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