特集 —がん化学療法—症状マネジメント15のQ
Q7 血管炎・抗がん剤漏出—抗がん剤を末梢血管から点滴投与しているのですが,痛みがあります.
河野 勤
1
,
清水 千佳子
1
,
渡辺 亨
1
1国立がんセンター中央病院内科
pp.424-427
発行日 2002年5月1日
Published Date 2002/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903957
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抗がん剤漏出以外の原因
この質問のようなケースの場合,まず「抗がん剤漏出」を考えるべきですが,それ以外の原因としていくつかの可能性があります.
まず,「レイノー現象」が抗がん剤で起きる場合があります.「レイノー現象」は血管炎の1つで,主には強皮症や全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病において生じます.これは寒冷刺激や感情的なストレスによって血管が収縮し,指先がチアノーゼに陥って痛む現象です.原因となる抗がん剤は,ブレオマイシン(ブレオ®)によるものがもっとも有名で,その他にはシスプラチン,ビンブラスチン,エトポシドなどがあります.「レイノー現象」は両側手指に起きることが多く,抗がん剤治療を開始して10か月ごろでもっとも頻度が高いといわれます.症状が強い場合には原因となる抗がん剤を中止しなくてはなりません.
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