特集 —がん化学療法—症状マネジメント15のQ
Q13 貧血・疲労感・抑うつ—抗がん剤治療が始まってから,患者さんが疲れを訴えられることが増えているようです.
高橋 秀徳
1
,
清水 千佳子
1
,
渡辺 亨
1
1国立がんセンター中央病院内科
pp.442-445
発行日 2002年5月1日
Published Date 2002/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903963
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疲れ,すなわち疲労感(Fatigue)は「だるい」とか「からだが重い」といった“エネルギーの欠乏(lack of energy)”として表現されます1).疲れはがん患者に非常によく認められる症状で,抗がん剤治療や放射線療法を受ける患者の9割以上が疲労感を自覚すると報告されています2)が,臨床現場においてはあまり重要視されていない傾向があり,たとえ患者からの訴えがあっても「経過観察」とされることが少なくありません.一般に化学療法に伴う疲労感はピークがだいたい数日のうちにやってきて,次のサイクル開始までには徐々に回復していくと考えられているからです.
しかし化学療法を受ける患者にとっての疲労感とは,嘔気につづいて2番目につらい副作用であるばかりでなく,治療が終わって退院した後でも長期的に疲労感は持続しており,その後の日常生活にもっとも影響を与える症状であることが示されています3).
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