特集 —がん化学療法—症状マネジメント15のQ
Q6 発熱性好中球減少—外来で抗がん剤治療中の患者さんが夜間38.3℃の熱を出し,病棟に電話がかかってきました.
今滝 修
1
,
清水 千佳子
1
,
渡辺 亨
1
1国立がんセンター中央病院内科
pp.420-424
発行日 2002年5月1日
Published Date 2002/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903956
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「発熱性好中球減少」とは,熱を伴って発症する,好中球が少なくなった状態のことです.臨床的には発熱が主症状であり,これが初期の重要な兆候ですので,「好中球減少性発熱(neutropenic fever)」とも言います1).好中球が少なくなっていても,必ず熱が出るというわけではなく,白血球の少ない状態に感染症が併発して,全身性反応として発熱が認められます(図1).一定の好中球減少の状態が5日以上続いた場合に熱が出やすくなるとされています2).
好中球減少性発熱の治療に関しては,「米国感染症学会のガイドライン」があり,特に発熱時の抗生剤治療に関して,詳細な推奨方法が勧告されています2)(最近2002年版に改訂されました3)).これによると,入院治療中の患者さんの場合には,抗生剤の点滴投与が推奨されていますが,外来治療中の患者さんに関しては,抗生剤の点滴投与の代わりに,内服抗生剤であるシプロフロキサシン(シプロキサン®)とアモキシシリン(サワシリン®)を投与することで,感染症の重症化が予防できると報告されています6).特に2002年改訂版では,外来患者さんの発熱時の対処方法について,いくつかの指針が加筆されています.
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